借金が膨らんでしまって返済が苦しくても、合法的に解決する方法はあります。
法律にのっとって借金を減額、免除してもらう手続きを「債務整理」といい、以下のような種類があります。
- 任意整理
- 自己破産
- 個人再生
- 過払い金請求
それぞれの仕組みやメリットとデメリットを分かりやすく解説しています。
債務整理とは?
債務整理とは、債務(借金)を減額したり、まったくのゼロにしたりする手続きのことです。
借金の返済が滞ると「利息」や「遅延損害金」がふくらみ、いつまで経っても完済できない状態になることもあります。
債務整理で借金を整理することで、借金だらけの生活から脱却することが可能です。
債務額そのものを減少させるほか、支払い期間を延長することで返済負担を軽減させることもあります。
ただ、借金がなくなる代わりに失うものもあり、メリットばかりではありません。
債務整理の具体的な方法を理解したうえで、自分の状況に合う債務整理を知っておくことが大切です。
債務整理は大きく分けて4種類
ひとくちに債務整理といっても、その種類は4つに分類できます。
- 任意整理
- 自己破産
- 個人再生
- 過払い金請求
それぞれのメリットとデメリットはこれから紹介します。
まずは、それぞれの簡単な特徴を把握しておきましょう。
任意整理 | ・借金の減額や計算し直しを交渉すること ・毎月の借金額を減額して、生活に困らない範囲での返済にできる ・合意した金額は3~5年かけて完済する ・任意整理の結果、過払い金が発生することもある |
個人再生 | ・借金を最大90%減額できる手続きのこと ・減額するには返済金額や完済方法について裁判所の許可が必要 ・自己破産と違って財産を残すことが可能 |
自己破産 | ・裁判所に申し立てることで、借金をゼロにする手続き ・ゼロにできるかの判断は裁判所が行う ・借金をゼロにする代わり、一部の自由財産を除いて処分が必要 |
過払い金請求 | ・本来は払う必要がないのに貸金業者に払いすぎたお金を取り戻す手続き |
過払い金請求は債務整理とは少し異なりますが、借金を取り戻す手続きとして今回一緒に紹介していきます。
債務整理ができる条件は種類ごとに異なる
債務整理の種類を選択する場合、それぞれに定められた条件をクリアする必要があります。
たとえば任意整理を選択する場合は以下のとおりです。
- 任意整理後3~5年で完済できること
- これまでの返済に応じている
任意整理が認められたあと、3~5年で返済していくことになります。
5年以内に完済できない金額の場合は、任意整理が認められないことがあります。
任意整理が認められない場合は「個人再生」「自己破産」が選択肢です。
たとえば個人再生なら債務の総額が5,000万円までなら債務整理が可能です。
それ以上の金額になると、自己破産を選択することになります。
またこれまでの返済に応じていることも重要です。
減額したあとに返済できないと、交渉に応じる意味がありませんからね。
債務整理のメリット
- 借金の減額や免除が可能です。
- 債務整理を弁護士に依頼すると、貸金業者からの取り立てがとまります。
- 弁護士が窓口役となるため、貸金業者と直接交渉しないで済みます。
- 借金問題の専門家と相談しながら、無理のない生活再建計画を一緒に考え、明るい未来に踏み出すことができます。
債務整理のデメリット
- 「過払い金請求」のみの依頼を除き、一定期間、信用情報機関に記録が残り、新たな借り入れが難しくなります。
- 一定の弁護士費用がかかります。
債務整理の事務所は?東京ロータス法律事務所を取材!
ざざっと債務整理について説明してきましたが、債務整理のお話は弁護士事務所に伺うのが一番!
ということで、借金問題に強い東京ロータス法律事務所に行って確認してきました。




みなさん、忙しそうに働いております!
東京ロータス法律事務所の皆様、ありがとうございました!
任意整理とは?
裁判所を通さずに、貸金業者と借主から依頼を受けた弁護士が話し合って、借金の減額などの交渉を行うことです。
継続的に一定の収入のある方が対象となります。
任意整理のメリット
- 弁護士に依頼すると取り立てがストップします。
- 将来利息や遅延損害金などをカットしてもらえます。
- 「職場から借りたお金は減額の対象としない」など、整理の相手を選べます。
- 裁判所を通す場合に比べて手続きが簡単です。
- 職場や家族に内緒で借金の整理ができます。
- 無理のない返済計画を専門家と一緒に考えることができます。
任意整理のデメリット
- 原則として、借金の元本は減額されません。
- 原則として、3〜5年間の分割払いで返済しきれる程度の借金額の場合に可能です。
- 5年間、信用情報機関に記録が残り、新たな借り入れが難しくなります。
- 給与差し押さえなどの強制執行手続は停止できません。
任意整理したあとの生活はどうなる?
任意整理をして借金が減額されたあとは、原則3年から最長5年にかけて返済を行います。
返済方法は、以下の2つのいずれかから選択が可能です。
- 自身で各業者に振込返済
- 弁護士・司法書士を通じて業者に送金を依頼
弁護士などに送金を依頼すると、1,000円程度の手数料が発生するため、できるなら自分で返済した方が良いです。
ただ、任意整理した手前、金融機関とのやり取りを避けたい人もいるでしょう。
そんなときは弁護士を介するのがおすすめです。
任意整理にかかる費用は?
任意整理は弁護士や司法書士を介して行うことが普通なので、弁護士・司法書士に対する報酬が発生します。
具体的にかかる費用としては以下のとおりです。
費用の種類 | 金額の相場 |
---|---|
相談料 | 無料のケースあり |
着手金 | 1社あたり0~3万円程度 |
基本報酬 | 1社あたり3~5万円程度 |
過払い金請求が成功した場合 | 取り戻した金額の約20% |
「すでに借金があるのに弁護士費用は払えない……」という人も多いですが、相談すれば分割払いもできます。
過払い金があれば取り戻した金額を弁護士費用に充てることも可能です。
相談料・着手金無料の弁護士事務所や弁護士法人も見つかるので、まずは相談をもちかけるのも良いでしょう。
債務整理で減額される金額と比較して、メリットがあれば選択できます。
自己破産とは?
裁判所に申し立てて破産宣告を受け、免責が認められれば借金が帳消しになるという手続きです。
借金を支払い不能の方が対象です。
自己破産のメリット
- 弁護士に依頼すると取り立てが止まります。
- 免責が認められれば借金が全て帳消しになります。
- 収入がなくても可能です。
- 生活に必要な最小限の財産は手元に残ります。
自己破産のデメリット
- 原則として、財産は取り上げられ、お金に換えられて債権者に分配されます。
- 自己破産すると、社会保険労務士や警備員といった一部の職業に一定期間就けなくなります。
- 5年間(全銀協は10年間)、信用情報機関に記録が残り、新規の借り入れが難しくなります。
- 借金をした経緯によっては自己破産が難しいケースもあります。(※)
「自己破産をしたい」と思っても、ギャンブルによる借金や、収入が少ないにも拘わらず高額の買い物を繰り返すなど、浪費が原因の借金は、裁判所に免責が認められないことがあります。
免責が認められないと、借金が帳消しにならないので、自己破産をする意味がなくなってしまいます。
また、裁判所は、株やFX取引、ビットコイン取引などといった投資は「射幸行為」として、免責を認めないことがあります。
他にも「この人は免責をしなくとも自力で返済が可能である」と判断された場合や、過去7年以内に自己破産をしている場合なども、免責が認められないことがあります。
もっとも、裁判所の判断により、裁量免責で免責されるケースもあります。状況により変わりますので、弁護士に詳しくご相談ください。
個人再生とは?
裁判所を通した手続きで、再生計画を立て、その計画に従って借金を返済することです。
借金を大幅にカット(最大5分の1程度)することができます。
反復・継続した収入のある方が対象になります。
個人再生のメリット
- 弁護士に依頼すると取り立てがやみます。
- 法律に従って、任意整理よりも大幅な借金の減額が見込めます。(最大5分の1程度)
- 住宅ローン特則を利用すれば、住宅ローンだけを減額対象から外すことができ、ローンの残った持ち家を守ることができます。
個人再生のデメリット
- 5年間、信用情報機関に記録が残るため、新規借り入れが難しくなります。
- 住宅ローンを除いた債務額が5000万円を超えていないことが条件になります。
- 小規模個人再生の場合、再生計画に対して、債権者が反対してくるケースがあります。
過払い金請求とは?
過去に返済した借金につき、法律の制限を超えて払い過ぎていた分の利息を返還するよう貸金業者に求めることです。
2006〜2007年ごろまで、多くの消費者金融は、利息制限法に定められた上限利息を超える違法な高金利でお金を貸し付けていました。
このころまでに消費者金融などからお金を借りていた場合、利息を払い過ぎていた可能性があります。
過払い金請求のメリット
- 払い過ぎていた利息を取り返せます。長期にわたる借金の場合、100万円以上の過払い金を取り戻せるケースもあります。
- 過払い金請求のみの場合、信用情報機関に登録されることはありません。
過払い金請求のデメリット
- 現在も同じ業者から借金があり、その借金額が過払い金の額を上回る場合は、「任意整理」という扱いになって信用情報機関に登録されることがあります。
- クレジットカードのキャッシング枠による借金だった場合、過払い金請求をすると、その会社のカードは以後使えなくなる可能性が高いです。
- 過払い金は最終取引日から10年を過ぎると時効にかかるため、早めに請求しないと消滅するおそれがあります。(※)
完済後に間をおかず借金を繰り返していた場合など、同一の契約が継続していたと認められる場合は、時効が伸びることがあります。
債務整理の手続きに必要な期間
債務整理の手続きに必要な期間は、任意整理・個人再生・自己破産の手続きによって異なります。
一般的に必要とされる期間は以下のとおりです。
債務整理の種類 | 必要になる期間 |
---|---|
任意整理 | 約3~6ヵ月 |
個人再生 | 約1年 |
自己破産 | 約半年~1年 |
任意整理は弁護士・司法書士(個人でも不可能ではない)と金融機関のあいだで交渉になり、裁判所は関与しません。
そのため他の方法よりは短期間で解決できます。
個人再生と自己破産は裁判所を利用するため、どうしても半年~1年は必要です。
特に個人再生は申し立てをしたあと
- 個人再生委員の選定
- 個人再生手続き開始
- 再生計画案の提出
- 再生計画案の認可
と多くのプロセスを経る必要があり、3つのなかでももっとも時間がかかります。
債務整理ごとの特徴まとめ一覧
債務整理として紹介した4つのうち、任意整理・個人再生・自己破産について手続きの違いを表にまとめました。
任意整理 | 個人再生 | 自己破産 | |
---|---|---|---|
借金の減額方法 | 将来利息の減額 過払い金の取り戻し |
借金額を最大10分の1に減額 | 借金がゼロになる |
手続きに使う期間 | 約3~6ヵ月 | 約1~1年半 | 約半年~1年 |
費用 | 1社3万円~ | 30万円~ | 20万円~ |
財産への影響 | なし | 担保権付の財産以外は残せる可能性がある | 総額99万円までの自由財産を除いて処分 |
保証人への影響 | 債権者次第 | 一括請求 | 一括請求 |
債務整理をするなら弁護士・司法書士に相談を
債務整理はいずれの方法を選択しても、弁護士や司法書士に依頼するのがおすすめです。
任意整理は弁護士や司法書士を介さなくても手続きできますが、法律のプロである金融機関の担当者を相手に不利な交渉を強いられることがあります。
ただ、弁護士・司法書士事務所は数多くあるので、探すのが大変です。
借金に不安がある人は、債務整理に強い弁護士・司法書士の見つけ方を知っておきましょう。
債務整理に強い弁護士・司法書士事務所の特徴・選び方
債務整理に強い弁護士・司法書士事務所は数多く存在しますが、選び方を知っておくと自分に合った事務所に巡り合えます。
- 費用が安いか
- ネットの評価が高いか
- 取扱い業務として債務整理に強みがあるか
費用ができるだけ安い事務所を選ぶのは重要です。
すでに借金を背負った身ですから、高額な費用は返済できない可能性があります。
着手金・報酬金のほか、任意整理の場合は「減額報酬金」という名目で費用請求されることもあります。
基本報酬だけで比較せず、発生する費用全体での比較が大切です。
また選択するなら、債務整理に特化した事務所がおすすめです。
弁護士や司法書士は事務所ごとに経営方針が異なり、中には多方面に広く業務を扱っているところもあります。
債務整理に特化した事務所であれば手続きがスムーズに進み、費用も安く済む可能性があっておすすめです。
債務整理に関するQ&A
最後に、債務整理に関する疑問と回答をQ&A形式でまとめました。債務整理に不安がある人は読み進めてみて下さい。
- 任意整理は弁護士や司法書士に頼まなくてもできますか?
- 任意整理については、弁護士や司法書士に依頼しなくても手続きすることは不可能ではありません。
ただ、債権回収のプロで法律知識を持った金融機関に対し、個人で交渉に臨むことはおすすめできません。
交渉が難航しているあいだに利息が膨らみ続け、弁護士費用を払う以上の負担につながることもあります。
個人で交渉しようにも、金融機関が取り合ってくれない可能性もあるでしょう。
弁護士や司法書士などのプロに依頼することで、速やかに解決を目指す方が得策です。 - 自己破産したら保証人の債務はどうなるの
- 自己破産が成立すれば、借金をした当人は返済を免除されます。しかし、借金そのものが消えるわけではありません。
連帯保証人がいる場合、金融機関は連帯保証人に残額の一括請求を行います。
もし連帯保証人に返済能力がない場合、一緒に自己破産することになるかもしれません。
自己破産を選択すると連帯保証人に迷惑がかかることを前提に、まずは任意整理で完済を目指しましょう。
債務整理は状況によって選択肢が変わる
債務整理のうち、どの方法が最善かは、具体的な状況によって異なります。「自己破産しかない」と思っていても任意整理ができるケースも考えられますし、個人再生がぴったりという場合もあるでしょう。
まずは、弁護士事務所の無料相談を利用されることをおすすめします。
借金から解放された明るい未来に向かって歩き出しましょう。